夏は料理人が胃を悪くする話
佐渡に一番たくさん人がやってくるのは、言うまでもなく夏。海の透明度は沖縄より高いし、二ツ亀でなくても素敵な海水浴場はたくさんある。たくさんの海草やカニや小魚もいっぱいいるから海の中は楽しい。陸へ上がればカブトムシは捨てるほどいる。蚊もいるけど。佐渡にとっては一年で一番のかき入れ時なのだけど、宿の料理人にとっては一番苦しい季節でもある。
というのは、佐渡では夏が一番食べ物の少ない季節でもあるからだ。イカソーメンは有名だけど、佐渡のイカは7月でだいたい終わる。トビウオやフグ、カワハギ、マグロも旨いがこれらも梅雨入りとともに終わる。春なら海草づくしも面白いけど夏は干したヤツしかない。りんご、洋なし、柿は秋から冬だし、新米も10月以降。お客さんの期待度の高い海の幸に関しては、網をかけても少ししか入ってないし数が揃わない。まさかテーブルごとに違う魚やサイズが大きく異なる魚を出すわけにもいかないので、大きなお宿は魚の争奪戦。なおかつ、それをどうすりゃバランスよく盛れるかで頭を悩ます日々なのだという。
佐渡へ行ったのに旅館で冷凍ものの刺身が出た、とかいう批判がよくでるんだけど、それは尤もなことながら、ないから出せないという事情もあるのです。その点、小さな宿だと揃えなきゃならない食材の絶対量が少ないし、多少のばらつきは「ごめんねー」で済ましちゃうから地魚が食べられる可能性は高い。しかし、魚がないことも「ごめんねー」とあきらめちゃう可能性も高い。
一番良いのは真夏を外して佐渡へ行くことです。子連れで海水浴するのでもない限り、真夏の佐渡は全く勧めません。